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フロッギー版 決算が読めるようになるノート001

Q.ドコモの完全子会社化が完了したNTT。明らかになったNTTの5G戦略とは?

Q.ドコモ

の完全子会社化が完了した

NTT。


明らかになったNTTの5G戦略とは?

フロッギー版 決算が読めるようになるノート / シバタ ナオキ

2021.3.10

シバタナオキさんの人気連載「決算が読めるようになるノート」が、「フロッギー版」として連載スタート。

決算が読めると何が変わる?

会社を見る目が変わる!

投資したい企業が増える!

ニュースの理解度がグっと上がる!

読まない理由はありません。旬の決算解説を早速チェックしましょう。

A.5Gの2つの特性を活かしたC向けとB向けの両張りで競争優位性を構築する戦略
・戦略その1:コンシューマー向け携帯回線はARPUを下げてでも純増を続ける
・戦略その2:グループ企業の再編を通して、B向け5G携帯回線にフォーカスする
ARPU(読み:エーアールピーユー。Average Revenue Per Userの頭文字:ユーザーあたりの平均売上額のこと)

決算が読めると何が変わる?

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2020年末に

NTTドコモを完全子会社化する

という発表をして

TOBが成立した

NTTグループが、初めて決算を発表しました。


今日の記事では、ドコモの完全子会社の狙い

を改めておさらいするとともに、

今後どのようにNTTグループが競争戦略を実行しようとしているのか、

発表から読み解いていきたい

と思います。


日本電信電話株式会社 2020年度 第3四半期決算について
NTTドコモ 2020年度 第3四半期決算について
⽇本電信電話株式会社 会社説明会 2020年12⽉

NTTグループの決算概要

初めに、

改めてNTTグループの2020年10月から12月期の決算をおさらいしておきましょう。
2020年4−12月

9ヵ月間で、

営業収益は

8.7兆円

YoY△1.4%

営業利益は

1.5兆円

YoY+3.6%

となっています。

YoY(読み:ワイオーワイ。year-over-yearの頭文字:前年比のこと)
△=マイナス

連結の決算書を見ると、

これまでのNTTグループの決算と大きく変わっていないようにも見えますが、

もう少し詳しく内訳を見ていきましょう。

NTTのグループのセグメントのおさらい

NTTグループ

セグメントをおさらいしておきましょう。
NTTグループの体制は、

この図にあるように一番上から、

・移動通信事業

・地域通信事業

・長距離・国際通信事業

・データ通信事業

という風に分かれています。

この図では

 NTTドコモの議決権比率が

66.2%

となっていますが、

TOB完了したので

ドコモが100%になった

という点が大きな変更点です。


少し古い数値ではありますが、

売上・営業利益

共に

移動通信事業が稼ぎ頭になっている

ことが読み取れるのではないか

と思います。

今回の決算における、

NTTグループ全体

としての

営業収益と

営業利益の

比較を見てみると、

営業収益に関しては

長距離・国際通信事業

で大きな減少が目立つ一方で、

営業利益に関しては

移動通信事業と

長距離・国際通信事業、

そして

データ通信事業

で大きく増加しています。


では、

この度のTOBが完了した移動通信事業である

NTTドコモ

の決算もおさらいしておきましょう。

NTTドコモの「最後」の決算から読み解く同社のこれまでの戦略

NTTドコモの決算資料の最初にこのスライドが出ていましたが、

2020年の12月25日をもって

NTTドコモ上場廃止となりました。


今回公開されている決算資料は

いつもに比べると簡素なものですが、

決算の概要と

主要なKPIが

開示されていました。

KPI(読み:ケーピーアイ。Key Performance Indicatorの頭文字。その会社にとってカギとなる経営指標や売上、取扱高、利益などの主要な数字や、その推移など)

今後も

NTTドコモ

単体で

このような決算やKPIを

公開していくかどうかはまだ分かりませんが、

投資家としては

是非データを開示し続けてほしいと思います。

今回発表された

最後のドコモの決算ですが、

2020年の

4月から12月の9ヵ月間の

累計で

営業収益が

3.5兆円、

営業利益が8,218億円と、

これまで通り

安定して

高収益な

体制が維持されている

と言えるでしょう。

内訳を見てみると、

通信事業が

707億円

と減少しており、

その分

スマートライフ領域で

752億円分

営業収益が増えている

という形になっています。

これまでのNTTドコモの過去数年間の取り組みを見ていると、

通信事業における成長

ということ自体、

競争激化に伴って

だんだん困難になってきている環境の中で、

スマートライフ領域

と呼ばれる

サービス売上

に注力をして、

通信事業の売上減少を補う形で

全体の

営業収益や

営業利益を

維持してきた、というのが

これまでのドコモの戦略だった

と言えるのではないでしょうか。

最新のNTTグループ決算から読み解く今後の5G戦略

では、

今回

NTTグループ

ドコモの完全子会社化をする

という発表の中で、

これまでの

固定回線を中心とした体制ではなく、

移動通信事業をNTTグループ全体の本丸に据える、

という意図が垣間見られたわけですが、

実際に

NTTグループ全体として、

ドコモを中心に添えて

どのような戦略を構築していくのでしょうか。


まだ

全ての詳細が明らかにされたわけではありませんが、

今回の決算発表の中から

NTTグループの移動通信事業、

そして5Gを中心とした今後の戦略

が一部読み取れますので、

少し詳しく書いていこうと思います。

戦略その1:コンシューマー向け携帯回線はARPUを下げてでも純増を続ける

移動通信事業の中での

一つ目の戦略は、

ahamoのリリースだと言えるでしょう。

これまでの

分かりにくかった料金体系から、

ひとつの

非常にシンプルな、

そして

2,980

(編集部註:記事執筆時)

という

低価格なプラン

を切り出して、

オンラインのみで

申し込み受付や

カスタマーサポートの提供を

行うというプランを発表しました。

3月1日、NTTドコモは、月額20GBの新料金プラン「ahamo(アハモ)」について、これまで案内していた月額2980円(税抜)という利用料を、月額2700円(同)に値下げを発表した。

楽天モバイル

新規参入し

低価格化が進むことが

予想される中で、

3大キャリアの中で

最初にこのようなシンプルな料金プランを提供したのは

ドコモ

でした。
実際に

ドコモのARPUを見てみると、

モバイル事業のARPU

年々減少を続けてきており、

楽天モバイルの新規参入があったことを考えると

このトレンドは逆らいがたい

ということは間違いない

と言えるのではないでしょうか。
今回の決算発表の中の質疑応答の中では、

ahamoは

既に

申し込み数が

100万人を超えている

という発表がありました。


3大キャリアの中で

先駆けて

手を打った

ドコモとしては、

スタート時点で

他のキャリアに

一歩差をつけることができ

という事ではないでしょうか。


まとめると、

コンシューマー向けの携帯電話回線は

ARPUが下がり続けることは逆らえないトレンドだ

と理解した上で、

いかに純増数を大きくしていくか

ということを

フォーカス(注目を移)している

と言えるのではないでしょうか。


実際には、

5Gが普及してくると、

ahamoを利用しているユーザーでも

月間のデータ使用量が20GBを超えてくる人もいるかと思います。


そうなると

2,980円以上のARPUを獲得できることにもなりますので、

5Gのインフラ構築が

完全に終わるまでは、

一時的なARPUの減少は仕方ないと諦めて、

それよりも

契約回線数の維持、

そして

増加に努める

という戦略だ

ということが、はっきりと読み取れます。

戦略その2:グループ企業の再編を通して、B向け5G携帯回線にフォーカスする

5G戦略の二つ目は、

BtoBの営業力強化

だと言えます。
こちらは

ドコモの完全子会社化発表の際に利用されたスライドの一部ですが、

ドコモを

完全子会社化する

ことで

取り組む内容の一つ目に、

法人営業力の強化

というのが挙げられています。

具体的には、

5Gの一つの特徴である

低遅延

という点が

IoTと非常に相性が良いです

低遅延:高画質を維持したまま、従来よりもライブ配信の視聴遅延を抑えることができる機能のこと

これまで

NTTグループ

法人向けに提供している

クラウド型のサービスや、

システムインテグレーションなどのサービス

連動することで、

法人向けと、

IoT用の携帯回線の販売

というのが、

これから大きくなると見ている

と考えて

間違い無いのではないでしょうか。


「IoT向けの携帯回線」

というのは

想像しにくい方もいらっしゃるかもしれませんが、

例えば

皆さんが持っている自動車や家電などが全てインターネットに繋がるようになる、

という世界を考えてみてください。


それぞれのデバイス

インターネットにつながるためには、

それぞれのデバイス

SIMカードが入っている必要があるわけです。

それらのSIMカード

どのくらいの量

必要になるか

というのを考えて頂くと、

このビジネスのスケールの大きさがご理解頂けるのではないか

と思います

(単純に考えても、

世の中にある自動車や家電のなどのデバイスの台数を出せば、

人間の数より多いことは明らかなのではないか

と思います)。


今回の決算の質疑応答の中で、

この点に関してかなり踏み込んだ発言がありました。

2021年の夏頃を目処に、

NTTコミュニケーションズ

NTTコムウェア、 

NTTドコモの子会社にする

というものです。


法人営業に強いこの2社を

ドコモの子会社にすることで、

クラウド型のサービスや、

システムインテグレーションのサービス

と一緒に

 BtoB向けの携帯回線

の販売を強化していくことができる

というのが、

NTTグループが描いている戦略なのではないでしょうか。

■まとめ
今回のNTTグループの決算発表からは、二つの大きな5G関連の戦略が読み取れます。
これらの二つの戦略は、5Gの二つの特徴である「大容量」と「低遅延」という特性をうまくレバレッジした戦略だと、個人的には感じました。

一つ目は、コンシューマ向けの戦略として、ARPUの下落のトレンドは止めようがないので、今は回線数の維持増加にフォーカスして、5Gが普及した後に、大容量という特徴を生かしてより多くのデータ利用を促し、ARPUを上げていく戦略なのではないかと思います。

二つ目の戦略は、グループ内企業の再編を通じて、B向けの携帯回線販売を強化していくというものだと読み取れます。こちらは5Gの低遅延という特性がIoTと非常に相性が良いので、そういったサービスを売りやすくするために、法人営業が強いグループ会社をドコモの子会社にするという方向で動いているとの発表がありました。



最後に

NTTグループの IR資料の中で、

一つ面白いスライドを見つけたので、紹介しておきます。
こちらのスライドは、

NTTグループの事業構造の転換

を表しています。

1985年においては

営業収入が

5.1兆

で、音声が83%を占めていました。


2000年頃になると

営業収益が倍増し、

10.8兆円になったわけですが、

それでもまだ音声が67%を占めていました。


携帯電話が多くの人に行き渡ったのが、

このタイミングなのではないでしょうか。


その後、

18年経った現在を見てみると、

音声売上は全体の17%に止まっており、

緑の部分のIPデータが30%、

システムインテグレーションは31%

というふうに、

事業構造は大きく変わっている

ことが読み取れます。


今回のNTTドコモの完全子会社化というのは、

これから5年10年の事業構造を大きく転換していくための最初の打ち手

とも言えるのではないでしょうか。


上でも書きましたが、

オレンジ部分の

システムインテグレーションと

緑の

通信部分を

5Gというキーワードを中心に連携させていく、

そして

IoT向けの5G関連サービスを大量に販売していく

というのが、

今後のNTTグループの最大の成長戦略なのではないか

と個人的には思いました。


現在を

中期的な事業構造の転換期

と据え、

大きな戦略を2つも打ち出したNTTグループの今後に、

注目していきたいと思います。

NTT

NTTの株価

05/27 15:00

2,6002,7002,8002,9003,0002/3 3/12 4/16 5/27 

NTT

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