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超高齢化少子社会100兆円、介護→AI→介護ロボかね?

https://www.itmedia.co.jp/enterprise/spv/2105/17/news124.html


日本のAIビジネスは新局面へ向かうか、SOMPOとABEJAの資本提携が持つ意味

AI系のTechベンチャーとして注目を集めるABEJAが、

損害保険大手SOMPOホールディングスと資本業務提携を発表した。

両者の関係は日本のAIビジネスの新局面と見ることができる。

 SOMPOは

ABEJAの大株主になったわけが、

ABEJAの既存株主の中には

ベンチャーキャピタル

グーグル、

NVIDIA

などのIT企業が複数存在する。


2021年4月28日に開催された記者会見の場で

ABEJA代表取締役CEOの岡田陽介氏は

「ABEJAがSOMPOに買収されたわけではない」

と念を押す。


資本業務提携によるシナジー強化はあるとはいえ、

従来通りの独立性は維持される。

両者の狙い、

今後のSOMPOのDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の

方向性を見ていく。

技術集団ABEJAと「リアルデータ資本」保有企業

 
ABEJA 岡田陽介氏

 岡田氏は、

「ABEJAは

社会課題の解決に当たって

『実装する』

ことに強いこだわりを持って取り組んでいる。


たとえ技術が存在しても、技術が

社会に実装されていなければ、

ないも同様だ」

と語る。


技術を持っていても、

技術を生かせるデータセットがなければ

価値を生み出しにくい。


この点で、

SOMPOと組むことで、

技術を実装できる基盤がそろった」

と今回の資本業務提携の意義を説明する。

 ともあれ

伝統的日本企業と

Tech系スタートアップ企業との協業では

しばしば

企業文化や

組織のマインドの違いが

しばしば課題となる。


この点において、

今回の提携はそれらとは性質が異なる点が多いようだ。


ABEJAは現在、

2つの事業を柱に据えて事業運営を進める。

一つは

小売業に特化した独自のAI製品の開発

もう1つは

業界を問わず個別企業に対してのコンサルティングから開発までを担うAIソリューション提供だ。


製品やサービスは

いずれも共通基盤の

「ABEJA PLATFORM」

を基に開発、提供する。


技術要素を共通化することで

短期間での開発やリリースができる点も強みだ。


企業向けのデジタル人材の育成でも

多数の実績を持つ。


例えば、

ダイキン工業の人材育成プロジェクト

ダイキン情報技術大学

では

ABEJAがカリキュラムや教育プログラム開発を担っており、

岡田氏も講師を務める。


 SOMPOとの資本提携を決定した理由について

岡田氏は

「カルチャーフィット」を挙げる。

ベンチャー企業に対する理解が深く、

受発注の関係ではなく、

ワンチームとして事業に取り組める

という確信があった」

と説明する。


 AIベンチャーである同社にとって、

SOMPOが保有する豊富な

「リアルデータ」

は、

ABEJAにとって

非常に魅力的だと岡田氏は語る。


 「事業の各所にリアルデータが存在しており、

それをAIで分析する方法論を知った上で

プラットフォームに実装している。

資本提携によってこのデータを扱えることで、

当社が課題に感じていた部分が一気にドライブできると感じている」(岡田氏)

 今後、

SOMPOとの協業プロジェクトが急増するのに合わせて、

ABEJAとしてもデジタル人材の採用を増やしており、

対応力を強化している。

それだけでなく、

自社による他業種への展開も拡大する意向だ。

 岡田氏は

今回の資本提携の目的は

資本調達ではなく、

あくまで事業の連携が目的だと強調する。


SOMPOグループCDOの楢崎浩一氏も

「今回、

増資でなく

既存の株主から相対株を買い取る形となったのは、

ABEJAは

事業を順調に進めているため、

資金需要がなかったためだ。


株主に理解をいただき、

直接株を買えたことで、

増資に比べて

提携までの時間が大幅に短縮できた

こともよかった」

と語る。



「SOMPOのDXは、

まだスタート地点」

SOMPOホールディングスCDO・楢崎浩一氏

 SOMPOのデジタル戦略をリードするSOMPOの

楢崎浩一氏

(デジタル事業オーナー グループCDO執行役専務)

は、

同社のデジタル戦略とABEJAへの出資と提携に

「3つの目的がある」

と説明する。


パランティア基盤のリアルデータをABEJAが事業創出に生かす

SOMPO 楢崎浩一氏

 1つ(目の目的)は


データプラットフォームによる

新ビジネス創出だ。


SOMPOは

2019年11月、

米国のデータテクノロジー企業パランティアと50%ずつ出資して、

日本法人のパランティアジャパンを共同で設立している。

楢崎氏は、

パランティアジャパン設立も主導し、

現在は社長も兼務する。


 パランティアは、

リアルデータプラットフォーム

(RDP)

と呼ぶ、

データの蓄積や統合、最適化を実現する基盤開発する企業だ。

SOMPOの他、

国内企業では

富士通も出資しており

同社の技術は高く評価されている。

SOMPOは

パランティアの技術を通じて、

保険をはじめとするグループ各事業が

現実世界で生み出す膨大な

「リアルデータ」

をすべて取り込み、

詳細分析や

オペレーション高度化

につなげる考えだ。


 パランティアジャパンは、

データ基盤の活用による社会課題解決のため

「プロジェクトSAMURAI」

(サムライ)

を立ち上げ、

第1弾として

介護事業における課題解決に着手している。

資本提携によって、

プロジェクトSAMURAIを含むSOMPOの主要なデジタル関連プロジェクトにおける協業体勢をとることになる。


ASOMPOの主要なデジタル関連プロジェクトにおける協業体勢

 楢崎氏は、

ABEJAとの資本提携により

「今後のRDPのプロジェクトはABEJAを中心に進めていく」

と説明する。


 「協業は社会課題の解決が目的

すでに介護を含む5つのテーマで事業を推進している。

まず、

SOMPOが保有する保険契約者の膨大なデータを

パランティアのプラットフォームに取り込む。

そこから

ABEJAが得意とする機械学習技術によって、

ユーザー視点に立ったプロダクトを生み出していくスキームだ。

これをソリューションとして仕上げていき、

SOMPOグループの新たな価値として顧客に提供していく


AI活用のハブ&スポーク体制を構築「抜本的な手を打ち、ワープさせる」

 2つ目が

AI活用の推進である。


ABEJAがハブとなり、

他のAIパートナー企業とSOMPOが

その周りにスポークのように位置する連携によって、

AI活用のスピードを上げていく。

楢崎氏は

「SOMPOは業界内ではDX先進企業として認知されているが、

私はまだまだスタート地点だと思っている。

抜本的に手を打ち、

ワープさせるための布陣をとる」


 他のAIベンチャーとのネットワークも維持するが、

楢崎氏いわく

「SOMPOは

さまざまなテクノロジーベンダーと協業しているが、

この提携でABEJAは“すごく大事な親戚”となった。

そのため、

何があっても最優先に組んでいくことになる」と話した。


「人材育成は待ったなし」

8万人の授業員は

3種類のいずれかのDX人材に育成、人材獲得も

 そして3つ目が、デジタル人材の育成だ。

SOMPOでは

デジタル人材を

「DX専門人材」

「DX企画人材」

「DX活用人材」

の3つのカテゴリーに分けて捉えており、

「最終的には

SOMPOの従業員8万人の全員が、

このどれかに属することを目指す。

人材育成は待ったなしだ」

(楢崎氏)という。

SOMPOの主要なデジタル関連プロジェクトにおける協業体勢(会見発表資料より)

 SOMPOは、

AIとDXの専門集団であるABEJAの知見を投入し、

ナレッジの体系化と研修の内製化を進める。


それでも間に合わない部分は、

やはりABEJAのノウハウを生かして

デジタル人材を中途採用する枠組みを早期に確立し、補強していく。

すでに人材育成の取り組みは始まっており、

社内でデジタル教育の能力を備えた人材を約900人育て上げているという。

 「SOMPOの目指す姿は、

『安心・安全・健康のテーマパーク』

となることで、

社会的価値を創出することだ。

別な言い方をすると、

これまでの保険会社からトランスフォームし、安心・安全・健康自体を提供するサービスカンパニーになる

ということである。

今回の資本業務提携は、

このビジョンの実現と密接に関係している」(楢崎氏)

 今回の記者会見から、

顧客データを抱える大手企業とAIスタートアップの新しい関係性が見て取れる。


 損害保険会社として豊富なデータを持つSOMPOと、

データ分析の技術と方法論を持つが

社会実装のためのリアルデータを外部に求めるABEJAの双方の思惑が一致した結果が、今回の資本提携につながった。

この取り組みが成功すれば、

日本の他のAIベンチャーも、

ビッグデータ保有する伝統的な企業と連携する動きを加速させる可能性がある。

その意味で、

今後出てくるはずのSOMPO/ABEJAの協業による新しいサービスへの注目は高まるだろう