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ビジネスモデル 企業分析力

プロも舌を巻く企業分析力で資産10倍 ~すぽさん前編

リアル投資家列伝・「4つの鉄板ビジネスモデル」への投資術 / すぽ

2019.6.12

鋭い銘柄分析が人気で、

著名個人投資家の選ぶブログランキングで1位になったこともあるすぽさん。



会社員時代に始めた株式投資で成功を収め、

資産は5年で10倍になりました。

成功の要因を振り返ってもらうと、

根っこは小学生時代の経験でした。


ただ、そのころから抱いていた

「儲かる会社の仕組み」

への関心が花開くまでには

長い雌伏の期間も……。


小学生のときから考え続けた「どんな会社が儲かるか」。


その答えとなる鉄板のビジネスモデルとは? 


また、それをどのように株式投資に適用させ、成果を出してきたのか、

お伺いしました。

小学生のころから「どんな会社が儲かるか」と考え続けた

「思い返してみると、

昔からどんな会社が儲かるのか考えるのが大好きでした。


最初のきっかけは

小学生のときでした。


藤田田さん

(日本マクドナルド創業者)

のベストセラーが兄貴の部屋にあったんです」


「儲かるのはどんな会社なんだろう?」

と素朴な疑問を抱いた小学生は、

長じて株式投資で成功を収めることになる。


2018年に会社を退職し、

専業投資家へと転じたすぽさんだ。


「それからも

ビジネスや経営戦略などの本をよく読みました。

スーパードライが大ヒットとなり

アサヒビールが大きな利益をあげたように、

ちょっとした変化が企業の勝ち負けにクリティカルに関わり、

会社がガラッと変わっていく――それが面白いなと」


この興味を追求するために

大学も経営学部へ――というわけではなかった。


「大学は情報系でした。

実は、当時は、自分が興味があることが「マーケティング」という学問としてあることを知らなかったんです。

ただ、『どんな会社が儲かるのか』

ということについてはずっと考えていました」

マーケティング知識を活かせる場面を発見!

社会人となって入社したのは、

ある大手メーカーだった。


マーケティングへの関心の延長から

『ヒット商品を作りたい』

という野望がありました。

『こんな商品を作りたい』

とよく吹聴していたので、

周囲を困らせていたと思います(笑)」


実際に配属されたのは

商品開発とは関係のない部門。

小学生のころから養った

マーケティングの知識は

宝の持ち腐れとなっていた。

「何の役に立つのかな……」

と自問自答していた知識を活かす場面が訪れたのは

30歳のときだった。


「投資を始めたんです。

始めたというよりは、

会社が確定拠出年金を導入したことで

『始めさせられた』

という感じです。


それまで株が何なのかわかっていませんでした。

人生ゲームで、

株券を持っていると

ルーレットの出た目に応じてお金がもらえる、

ぐらいの知識でした(笑)」


否応なしに

投資への一歩を踏み出すことになったすぽさんは、

独学で勉強を始めた。


「それでだんだんと理解してきました。

株主とは会社のオーナー。

会社が稼いだ利益が配当として受け取ることができる。

つまりたくさん稼ぐ会社を見つけて、

そのオーナーになればいいわけです。

それならば、

今まで

『何の役に立つのかな』

と思っていた知識を活かせばいいじゃん! と。


小学生のころからどんな会社が儲かるのかずっと考え続けてきたので、

どんなビジネスモデルが儲かるかは、

わかるようになっていましたからね。

これは面白そうだと個別株への投資をスタートしました」

中国株で学んだ「割安」よりも大事な「成長性」

培ってきた知識を活かす場を得たすぽさんであったが、

迷走を始めてしまう。


「会社が成長すれば、

その分、株価も上がる

だったら

成長する国の株を買ったほうがいいだろうと。


当時は

中国が急成長の過程にあったので、

まずは中国株から始めました」


これが最初の誤算だった。


中国経済の成長とともに

株価は2、3倍になりましたが、

リーマン・ショック

利益を減らしてしまいました。

そもそも

中国株だと、

自分がやりたかった

『ビジネスモデルから成長企業を見つける』

という方法がうまくいかないことがわかってきました」

中国企業を対象にして

味わったのは

「現場に行けない、

資料が読めない

日本語での情報が少ない

という三重苦だった。

これではビジネスモデルの分析などできやしない。


さらに、

もうひとつの誤算があった。


「当初、

ウォーレン・バフェットの本を読んで悟ったような気になってしまっていました。

『PERとPBRで見て割安なものを買えばいいんだ』

と。

本当は

バフェットも成長性を取り入れているのですが、

自分の頭の中は割安性でいっぱいになってしまったんです」


中国株投資で

主力と位置づけたのも割安株であったが、

待てど暮らせど株価は横ばい。

一方で、

準主力として買った、

そこまで割安ではなかったはずの損保や食品の大手企業は

スルスルと上昇していった。

「割安性も重要ですが、

それだけで勝てるわけではない。

割安性以上に成長性が重要なんだと、

あらためて気がつきました」


情報の乏しさと、

割安投資への盲信――2つの誤算に気がついたすぽさんは、

方針を転換する。


「思い切って日本株を本気でやってみよう、と。

それが2010年ころです」


資金は数百万円。

アラサーの会社員にとって小さくはない金額だが、

迷いはなかったのだろうか。


「中国株を始めてからの5年間、

資産運用

って何なのかとずっと考えてきました。


世の中には持っているだけで自然と増えるものが3つあるんです。

ひとつは現金。

銀行に預ければ利子がつきます。

ふたつめが貸し出すことで賃料が入る土地。

そして3つ目が株なんです」

会社が黒字なら

配当がもらえるし、

成長とともに

株価も上がっていく。


「3つのなかでも

資産を増やすエンジンとなるのは株ですから、

株を持つことは当然なんです」

見た瞬間に勝ちを確信したインフォマート

日本株を本格的に手がけ始めたすぽさんは、

5つの銘柄に資金を投じた。

そのうちの1社が

大成功をもたらすことになる。

「見た瞬間、勝ちだと思いました。

利益率も高いし、

ビジネスモデルも優れていて、

PERも20倍程度。

負けるわけがないと」


すぽんさんを魅了したのは、

飲食店が食材の調達などに使う

BtoBの電子市場

を展開する「 インフォマート」だ。

インフォマートの株価

06/01 15:00

8008759501,0251,1002/8 3/17 4/21 6/1 

インフォマート

2492 東証1部

¥ 892
-28

「どんな会社が儲かるか? 

ずっと考え続けた結果、

出した答えの一つが

『プラットフォーム型』

のビジネスモデル。


『プラットフォーム型』のビジネスモデルは

一定以上の規模になると、

他社の参入が非常に難しくなるんです。

インフォマートは、まさに

企業間取引のプラットフォーム

を提供する会社でした」

閑散とした市場からは客が離れ、

賑わっている市場へと客が集中する。

ビジネスの世界では、よく見られる現象だ。


「当時だと『ヤフオク!』もそうでした。

インターネットオークションのプラットフォームはたいてい1国に1社なんですが、

その覇者となった『ヤフオク!』はどんどんお客さんを集めていました。

ヤフオク!に対して米大手のeBayが参入してきたこともありましたが、

孫正義さんはヤフオク!の手数料を無料化して蹴散らしました。

そして、そのあと課金を強化したんです。

プラットフォーム型の勝ち方の王道です」


インフォマートのビジネスモデルは

「プラットフォーム型」

の定石にピタリと当てはまっていた。

インフォマートが儲かっているようだからうちも」

と他社が考えたときには、

高い参入障壁が築かれている。


「いい食材を安く仕入れるには

インフォマートを使うしかない。

使うには

毎月使用料を支払わないとならないので、

インフォマート

売上を見込みやすい。


しかも

競合の参入が事実上不可能――。

だからこそ見つけた瞬間に

『負けるわけがない』

と思ったんです」


インフォマートの株価は

2年後、10倍となった。


小学生時代から抱いていた関心が

結実した瞬間だった。

しかし、

すぽさんが5年で資産を10倍にすることができたポイントは、

ビジネスモデルに加えて

あと2つある。

投資をする上での3ステップとは? 

次回、さらに詳しく聞いていこう――。